外壁塗装色
外壁が塗装仕上げとなっているマンションでは、大規模修繕工事の中で塗装色を検討することになります。建物の色は「自動車のホワイト塗装」のように多く使われる色があります。また、その時代の色というものもあります。大規模修繕工事はそのような色について考え直すよい機会と考えられます。 色は従来と同色(類似色を含む。類似色は色見本を作って比較すると違いがよくわかるのですが、それ単体で見た場合は識別できないことから)にするか、異なった色にするか、この2つの考え方があります。前者の場合、「外壁は新品みたいになったけれど、変り映えしいね」という感想が出される場合があります。後者の場合は後々のために区分所有者の了解を得るなどのステップが不可欠なことから、それなりに「変化をするためのエネルギー」が必要となります。 筆者は「白い外壁塗装ならば、変化を考えてみる価値があるのではないか」と考えています。これは次の理由によります。
色は人それぞれの好みがありますので一概にいえませんが、私は次のことが必要ではないかと考えています。
さて、南流山弐番街の以前の外壁塗装色は白でした。そして外壁塗装色については大規模修繕工事着手前から、「複数の色のサンプルをつくってアンケートによって決定する」こととしていました。工事着工と同時に、大規模修繕専門委員会で色を検討しはじめましたが、妻壁側のタイルの色(オリーブ色)と床の色(レンガ色で工事では補修のみ実施)が、塗装色の選択の幅を制約しました。これは逆に何もない状態での色の検討より楽だったのかもしれません。多くの色見本からタイル色と調和のとれているものを数点、選び出し、90cmx90cmのコンパネに塗装して、これを見てのアンケートを実施し、現在のベージュに近い色が選び出されました。前年に近くの南流山壱番街が大規模修繕工事を終えていて、それが従来と同じ白で外壁塗装していたことが、「これと違った色」を求める結果となったのかもしれません。
「建物の中が暗い感じになるのが心配でこの色を選ばなかったのだけれど、そんな風にはならず、今はとても気に入っているわ」と話してくれた方がいらっしゃいます。色の濃さについては専門委員会で見本を階段室に持ち込んで暗い感じにならない色に絞り込んでいった経緯がありますので検討の結果が正しかったと胸をなでおろしました。なお、以前の壁面はアクリルリシン吹付けの仕上げで汚れもあって反射率も低かったのが、今回工事で仕上げが変更され、汚れがつきにくく反射率が高いものになったことがそのような感想を得た理由のひとつではないかと考えています。 「写真で見る南仏の住宅の壁の色のよう」といわれた方がいます。委員会で色を検討していたときはこれほどとは思わなかったのですが、晴天、曇天での異なった色の見え方、昼間、夕刻と一日の中の太陽の光線の具合での建物の色の変化は驚きでもあり、大変、興味深いものがあります。
■ 南流山弐番街の外観における色彩計画について色は次のように整理されました。
階段室のメーターボックスの色については「壁面より濃い目の色は」というよく使う手法も検討されましたが、階段室内が暗いイメージになること、異なった色を使うと面的な広がり感が損なわれることなどから、これらも壁面と同じ色で塗ることになりました。また、バルコニーの目隠し板、避難隔板も壁と同じ色とし、大規模修繕工事の後、「やり忘れた」的なイメージをもたれないように、また、建物としての一体感を持つように配慮されました。
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