大規模修繕工事概要説明

[弐番街管理組合・大規模修繕委員会から居住者へ配布した資料の抜粋]


 大規模修繕工事を進めるには居住者の理解を得て、工事期間中、協力を得るれるようにすることが最も重要と考えました。そして1年前から説明会の開催を行いました。最初の説明会でバリアフリーデザインに関連する工事内容をいれることを説明したところ、居住者から委員会で気づかなかった不具合点の改善の要望が出され、これも工事の中に含まれることになりました。本資料は工事着手前に配布したもので、これに沿って説明会を行なっています。工事中にも逐次、その工事進行状況についてお知らせを流しました。



1. 本工事の目的

 当マンションも竣工以来14年が経過したことから汚れが目立ってきました。また、コンクリート表面には所々にひび割れが発生しています。コンクリートのひび割れは放置しておくと内部の鉄筋を錆びさせる原因となり、当マンションの寿命を短くするおそれがあります。大規模修繕工事の第一の目的は、経年変化に伴う建物性能の劣化を防止し、耐久性を維持することにあります。

 また、外壁などの汚れやタイル面に発生したひび割れなどは、当マンションの資産価値を下げることになります。そこで第二の目的は、建設時の美観を取り戻すことにより当マンションの資産価値の維持向上を図ることにあります。

 そして第三の目的は、日常の使用で明らかになってきた当マンションの不具合点(安全面、使い勝手)の改善を図ることにより、住み良い生活の場を提供することにあります。

 工事期間中は様々な面で居住者の皆様にご不便をかけることとなりますが、ご協力、宜しくお願いいたします。


2. 工事内容

2.1 先行工事

 先行工事は浄化槽ポンプ室の改修、集会棟の改修、管理事務室・管理人居室の改修で構成されます。

 下記の浄化槽ポンプ室の改修などは当マンション固有のものです。大規模修繕工事の中に含めてしまう方法もありますが、当マンションでは長期修繕計画で予定していた内容と区別してこのように先行工事として工事費の考え方を明確にしました。


(1) 浄化槽ポンプ室の改修 【当マンション固有の工事項目】

 浄化槽ポンプ室の改修は、工事期間中、居住者の皆様がライオン公園の地下の浄化槽の跡を倉庫として利用できるためのものです。浄化槽として使用中に薬品のガスや湿気により入口扉や電灯設備のスイッチ等の腐食がかなり進んでいます。このため、これらの交換を行います。そして現在、排気口から雨が降り込むため、排気塔を設けて雨対策を行います。

(2) 集会棟,管理事務室・管理人居室の改修

 集会棟,管理事務室・管理人居室は共用部であり,本工事に合わせて内装の改修を行います.

 集会室は工事説明会などで頻繁に使用することになります。そこで現在、作動不良のエアコンを更新し、内装の改修を行います。集会室は机の角で壁面に穴を開けたりしているため、机の高さに板を張り養生します。また、集会室と和室間の襖は穴があいて破損がひどいため,より丈夫な戸とします。エアコンは和室側へも設置し、集会棟をより一層、使用しやすくします。なお、集会室と和室間の開口部を更に大きくできないかという質問がありましたが、この壁は集会棟の重要な構造壁のため、このような処理は不可能なことをお伝えします。

 管理事務室も工事期間中、少人数の打合せのために頻繁に使用されます。事務室の換気が悪いことから換気設備を追加し、改善を図ります。そして管理事務室・管理人居室の内装工事としてクロスの張替え、床Pタイルの張替え等を行います。


2.2 大規模修繕工事

 大規模修繕工事の内容は外壁の改修工事、鉄部の塗装、防水関連工事、そしてこれら以外の様々な付帯工事で構成されます。壁面の塗装工事,バルコニー防水工事に際してバルコニーに置いてある物品や床に張った人工芝が邪魔になります。これらの撤去について皆様のご協力をお願いします.なお、クーラーは若干の移動が必要ですが、これについては工事業者が行います。


2.2.1 外壁の改修工事等

(1) 外壁塗装

 塗装仕上げ部は経年変化とともに塗装の強度が低下します。また、汚れが付着してきており、部分的にコンクリートのひび割れが生じているところがあります。そこで外壁塗装の前にコンクリートのひび割れ部分を補修し、ぶつけたりしてコンクリートやモルタルの欠けた部分を補修し、更に脆弱になった塗膜を高圧水により除去した上、ローラ等で塗装を行います。住居部の外壁の他、付属棟の店舗棟,集会棟,ポンプ室,電気室等も塗装します。

 外壁部は超低汚染アクリルシリコン塗料を用い、汚れがつきにくい仕上げとします。また、現在の壁面は砂粒状の表面仕上げで擦過傷や皮のハンドバッグを傷つけやすい状況となっていますが、これが現状より滑らかな仕上げとなり改善されます。

(2) タイル補修

 1,2号棟の東西の妻壁部分はタイル仕上げとなっています.そこでこのタイル仕上げ面のうち,浮き上がっている部分については樹脂を注入して落下の防止をはかります.また,クラックを生じたタイル部の張替を行います.補修後、超低汚染型アクリルシリコン塗料仕上げを行い、汚れが付着しにくいものとします。

(3) 鉄部の塗装工事

 各鉄部、例えば錆が目立ってきた階段室のメーターボックスのパネルや外灯のポールなどの塗装を行います。各住居の玄関扉枠の塗装に際しては,扉を明けて作業する必要があります。皆様のご協力、宜しくお願いいたします.

(4) その他塗装

 各階のエレベータホールの天井ボード等の塗装を行います。

 また、開放廊下と階段部のリムスプレーの剥がれた部分を補修します。


2.2.2 防水工事

(1) 屋上の防水補修工事

 屋上の防水をチェックして不良箇所を補修し、防水層保護のため、シルバーコートを塗布します。これにより、屋根防水層の耐用年数の延長を図ります。

(2) バルコニーの防水

 コンクリートのクラックは放置していると,そこへ水が浸透して鉄筋等を錆びさせ,建物の耐久性の低下や階下の住居へ毛細管現象などにより雨漏り生じさせるおそれがあります.そこでバルコニーにウレタン塗膜防水を行います。本防水は固いもので傷つきやすいため、施工後の取り扱いに注意をしてください。

(3) 砂付きアスファルトシングル葺き屋根改修工事

 1号棟、2号棟のエントランス部の屋根、集会棟、店舗棟の屋根は砂付きアスファルトシングル葺きの屋根となっています。不良箇所を補修し、防かび防藻屋根用ポリウレタン樹脂塗料で仕上げします。

(4) 庇、付属棟屋上等

 1号棟,2号棟の階段室の庇天端等、ウレタン塗膜防水を施工します。

(5) シーリング打替工事

 外壁目地コーキング、各住居のアルミサッシュ廻りのコーキング、ベントキャップ、換気口、その他の金物廻りのコーキングは経年変化により、劣化しています。そこでシーリングの撤去・打替えを行ないます。


2.2.3 付帯工事(内部)

(1) エレベータ改修工事

 エレベータのカゴの内装は14年の使用により、痛みが目立ってきています。そこで操作パネルの交換を含めてカゴ内の内装の更新をします。

 また、これは以前からの要望への対応ですが、防犯対策として1・2号棟のエレベータのカゴ内にカラーカメラを設置します。そして管理人室でカゴ内の状況を確認可能とし,また24時間録画できるビデオデッキを設置し,防犯対策を強化します.

(2) 非常放送設備 【当マンション固有の工事項目】

 現在、設置されている非常放送設備は外部のトランペットスピーカが1つで放送が居室内に聞こえにくいことから、スピーカを増設し、その取付方向を調整します。

(3) 各階段室入口の床タイル改修工事

 1階の各階段室入口の床面に貼ったタイルは平滑で傾斜した場所にあることから,雨天時や降雪時には滑りやすく,危険です。そこで1階のエレベータホールの部分も含めて床のタイルを滑りにくい凹凸のついたものに張り替え,これらの危険を低減します.

 なお、1号棟の1階のエレベータ前にあるピットの蓋のグレーチング(鉄枠でできた蓋)は床面から出っ張っているため、つまづく原因となり、また、女性のハイヒールのかかとが落ちやすい形状でした。そこで床面の改修に併せて床面と同じ高さに直し、また、蓋もかかとの落ちにくいものに更新します。

(4) 駐輪場の改修

 駐輪場の柱などの鉄部の塗装と屋根(お子さんが乗られたためか凸凹になっている)の交換を行います。1階居住の方から「駐輪場の屋根に当たった雨音が大きいため、改善を」という声があり、屋根材料を変えてこの要望にできる限り対応するようにします。

(5) 集合郵便受け取替工事

 現在の集合郵便受けは,住宅公団規格のものが付けられています.そして子供たちのいたずらのためか,扉が壊されり,痛みが目立っています.そこで高品質感のあるダイヤルロック錠付ステンレスポストに交換します.また,これに伴い従来のポストの並び順が住戸に対応していずわかりにくいことから,配列の変更を行います。

(6) UHF13〜30chのアンテナ設置

 急速に変化する社会への対応、あるいは余暇時間の充実という観点から、近年、リカレント教育(社会人となった後にまた、学校に入って学ぶこと)を受けられる人が増えています。そのためのひとつの機関として正規の大学である放送大学があります。これは、FM放送(77.1MHz)とテレビ(UHF16Ch)の放送授業を視聴して学んでいくものです。既存のUHFのアンテナは31〜60Chに対応するため、放送大学の電波に対応できません。そこでこれに対応するため、UHF13〜30Chのアンテナを新設します。また、これにより、昨年度、開局したMX放送(14Ch)の聴視も可能となります。また、既存のVHF,UHFのアンテナは15年の経過で腐食が進んでいるため、今回、更新します。加えて、近隣に対する電波障害用のアンテナも更新します。

(8) 表札の交換

 外壁塗装の改修に合わせて現在のものより、高級感のあるものに交換します.

(9) TES排気カバー改修

 塗装をしてきれいな外壁となっても,現在のようにTESの排気カバーから水垂れする状況ではすぐ,汚れてしまいます.そこでTESの排気カバーの内部を改造して,壁面に凝集水が垂れないようにし、汚れの進行を防ぎます。

(10) 各戸浴室,レンジフード用排気ガラリ交換及び周囲清掃

 各住戸の浴室と台所の排気用ベントキャップが経年変化により、腐食が進み、汚れが目立っていることからこれらの交換をします.これに合わせて隙間のコーキングをします.

(11) バルコニー隔板の破損部分取替とボルト締付及び塗装

 各住戸のバルコニーにあるバルコニー隔板の破損した部分の交換とボルトの緩んだり外れた部分を直します。また、本工事の外壁塗装によってバルコニー隔板の汚れが目立ってくるため、この塗装を行ない、美観を保ちます。

(12) 1階専用庭境界フェンス取替工事

 1階の専用庭も共用部となります。隣家を隔てるフェンスは,経年変化により腐食が相当進行していることから、この交換を行います。

(13) 照明器具改修工事

 階段室や開放廊下などの照明器具は外部に面していることから,経年変化により錆びの発生等があります。また,これらの電気器具は経年変化が進むと内部回路の絶縁性の低下などによりトラブル発生の原因となります.そこでこれらの照明器具を交換します.

(14) 天井からの水漏れ対策

 1号棟・2号棟の4階,6階,8階のエレベータホール天井及び1-301前のホール天井の計7箇所から浴室の排気ダクトからの結露水が漏れがことが確認されています。そこで排気ダクト内部で結露した水が天井に伝わらないようにダクトの更新を行います。

(15) 雨樋補修

 1・2号棟の雨樋の縦管で地上から出た部分が外れているものがあります。これは、地盤沈下により、地中の配管が下がったことに起因します。そこで図7に示すように縦樋の地上から立ち上がった部分を鞘管方式の接続として、地盤沈下が生じても外れないようにします。

(16) 避雷導線支持金物補修

 1・2号棟の屋上の避雷導線の支持金物で外れた部分を復旧します。

(17) 手摺,アルミサッシュ枠清掃

 バルコニー手摺(北側及び南側共)、開放廊下手摺、階段室手摺及びエレベーターホールのアルミサッシュ枠等のアルミ製金物の清掃を行ないます。


2.2.3 付帯工事(外部)

 マンションの建屋外の工事として図3のものが予定されています。これらは主に歩行の障害となるものの改善を目的としています。近年、「バリアフリーデザイン」が公共建築物に取り入れられるようなりました。本工事は改修工事であり、建物の構造的な制約の中で対応せざるを得ませんが、できる範囲でこの考え方を取り入れました。

(1) 1号棟・2号棟エントランス入口スロープ交換(図3 @の部位)

 1号棟・2号棟のエントランスには、現在、鋼製スロープが設置されています。このような部分は1/10以下のスロープとすることが必要です。そこで本工事では1号棟のエントランスの東西の出入口、2号棟は北側の出入口の部分をコンクリートのスロープとします。これにより、つまづくことがなくなり、台車等の出入りも容易になります。

 本工事に際して、一時期、出入りにご不便をおかけすることになりますが、宜しくお願いいたします。

(2) 駐車場と駐輪場の通路の縁石の段差改修工事(図3 Aの部位)

 1号棟・2号棟とも建物と駐輪場の境界に縁石が出っ張っていて、歩行の障害となります。そこで縁石を撤去するなどして、この部分に傾斜1/10のスロープ(コンクリートあるいはアスファルト)とします。これにより、夜歩いていてつまずくことがなくなり、清掃用の台車等の移動が容易になります。なお、スロープの巾は1mとし、自動車がそのスロープの部分から入らないように配慮しています。

@エントランス段差処理

A通路段差処理

B車止め

C駐車場トレンチカバー

D東南U字溝トレンチカバー

E緑化工事(点線内)

図3 外周部関連工事平面図

(3) 1号棟,2号棟の駐車場のU字溝の蓋設置(図3 Cの部位)

 1号棟・2号棟の駐車場の車止めの後のU字溝は蓋がないことから、トランクから荷物を出す場合、足を入れてしまうことがあり、改善して欲しいとの要望が説明会に際してありました。実にその通りです。本工事でU字溝にトレンチカバーで蓋をし、これを改善します。

(4) 敷地境界の角の部分のU字溝蓋設置(図3 Dの部位)

 当マンションの敷地境界の南東部、南西部、北西部の角には、コンクリート製のU字溝蓋がしてあります。蓋の厚さが厚いことから、段差を生じており、また、蓋も破損が目立ってきていることから鋼製(溶融亜鉛メッキ)のトレンチカバーに更新し、これを改善します。

(5) カラー舗装補修

 当マンションのカラー舗装は、所どころ穴があいた状態となっていて歩行の障害となっています。しかし、舗装を完全にやりかえるのは難しい予算状況です。そこで、本工事では穴が生じた部分をアスファルトで埋めて塗装する補修の範囲の工事を行います。

(6) 当マンションの入口部分の車止めの改修(図3 Bの部位)

 1号棟,2号棟の東・西の4箇所に車止めがあります。これらは歪んだり、ちゃんと立てることができなくなったり、破損が目立っています。そこで棒状の車止めの部分が地中に収納することのできるステンレス製の車止めに改修します。

図4 車止め

(7) 掲示板の更新

 当マンション内に5ヶ所掲示板が設置されていますが,痛みが目立っています.これを耐久性のある高級感のあるものに更新します.

(8) 浄化槽用キュービクル撤去と清掃作業用機材収納庫 【当マンション固有の工事項目】

 ライオン公園とポンプ室の間に浄化槽用のキュービクル(浄化槽設備用ポンプなどに電源を供給する変圧器が収納された箱)が置いて有ります。これは、当マンションの完全下水道化により、不要となりましたが、そのままの状況で置かれていました。本工事に併せてこれを撤去し、その跡に清掃作業用機材収納庫を設けます。

(9) 外構工事

 当マンションの緑化に関する問題については、「美しい弐番街(緑の号)」(No.1)で述べさせていただきました。緑化工事を一度に行うことは、予算面から不可能なことから、本工事では、駅から当マンションの動線(人の流れ)上にあり、その改善が資産価値向上に効果の高い東面の緑化工事を行います。ライオン公園の基礎のコンクリート部分にタイル貼りを行い、美観を高め、また、現在の植栽を整理し、統一感がでるように緑を配置します。