洗面化粧台
標準の洗面化粧台は水廻り設備として使い続けることができますが、ミラーキャビネットの黄ばみや、人によっては洗面部高さの低いことが気になる場合があります。近年の洗面化粧台には洗面部を大型化して洗髪や洗濯の予洗いなどに使えるものがあり、更新を考える理由となります。
将来的にドラム式洗濯機を導入の場合、蓋の開閉に約110cmの奥行きが必要なため、更新に際して洗面化粧台の位置を入口側に寄せて設置することが考えられます。なお、洗面所の床下が排水管のスペースとなりますが、余裕のない床下寸法のため、排水に必要な水勾配を確保するには標準の洗面化粧台の位置から大きく動かすことはできません。
(1) 洗面化粧台のサイズ(奥行き、幅、洗面部の高さ)の選定
当マンションが竣工した1983年当時、洗面化粧台の奥行き寸法は50cm、高さ(洗面器のあふれ高さ)は72cmが一般的で、これに準じて標準の洗面化粧台(クリナップ)は幅75cm×奥行き49.5cmで洗面部の高さが72cmとなっています。
a. 奥行き
洗面化粧台の奥行き寸法は時代とともに長くなり、55〜60cmが多くなっていますが、洗面化粧台と浴室入り口の間は洗濯機の搬入・据付の通路となり、その通路幅は全自動洗濯機への更新を想定すると最低70cm以上(全自動洗濯機の幅60cmと両手で持つための左右の空間(最低限10cm以上)の和)の確保が必要です。これより、奥行55cm未満のものの選択が無難です。
なお、洗面所の奥には洗面・浴室系統排水管の収まる柱型があり、洗濯機の搬入・設置はこの柱型にぶつからないように行う必要があり、その空間は標準の洗濯機パンの長手方向の寸法に相当する洗面所奥の壁面から80cm程度が必要です。これは壁面の換気用のガラリを洗面化粧台の鏡で塞がない位置ともなります。
b. 洗面部高さ
近年の洗面化粧台の洗面部の高さは80cmが主流で、高さを選べる製品もあります。なお、高い洗面部だと小さなお子さんでは手が届かず、衣服の袖口を濡らすことになるため、踏み台を準備する必要があります。表3に奥行50cm前後の各メーカーの洗面化粧台を示します。
表3 奥行き50cmの洗面化粧台(高さは特記以外カウンター部)(2008年9月調査)
メーカー |
機種名 |
INAX |
L.C.(奥行き50cm、高さ80cm) |
TOTO |
リモデア(奥行き49cm、高さ80cm)、スリムシリーズ(奥行き40cm、高さは75・80・85cm) |
タカラスタンダード |
ホーロー化粧台薄型タイプ(奥行き50cm、高さは75・80cmm) |
クリナップ |
アクリア サルーン(奥行き50cm、高さ80cm(洗面部)) |
TOSTEM |
ルーシェST(奥行50cm、高さ80cm) |
アサヒ衛陶 |
アール(奥行48.5cm、高さ80cm)、ピュレア(奥行51cm、高さ83cm) |
c. 幅
洗面所の入口側にはTESが設置されます。例えばAD-200FFAの取扱い説明書では周囲との離隔寸法は、保守・アフターサービス上、建築構造物から器具の両側面までは15cm以上の空間、背面は4.5cm以上、前面は60cm以上の空間をとるものとしています(離隔寸法は各住居で設備のTESの取扱い説明書を参照してください)。洗面化粧台とTESは15cm離すと仮定すると、上記の洗面化粧台の洗面所奥の壁面からの設置位置の制約もあり、洗面化粧台の間口(収納用キャビネットなどの設置を含む)は最大120cmとなります。
ドラム式洗濯機を導入する場合、ドラム式洗濯機は扉を開けた状態で約110cmの奥行きが必要で、浴室側に蓋を向けると柱型と蓋が干渉して完全に開けることができません。このため、蓋を完全開とするには蓋の向きを洗面所入口側として洗面化粧台の奥の面を約30cm入口側に移設する必要があります。この場合の洗面化粧台の最大間口は最大90cmとなります。
収納の場所を考える場合、洗面所内の人の動き(動線)を妨げないことに配慮します。洗濯機の上の空間、TESと化粧洗面台の間の空間、そして洗面化粧台の上部、洗面化粧台下の部分が収納場所の候補となります。上記の横幅の制限を踏まえながら、洗面所内の収納物品を調べ、洗面化粧台のキャビネット寸法や収納棚を計画します。
(2) 洗面化粧台の設備配管と電気設備
洗面化粧台へは給水管(ライニング鋼管)、給湯管(銅管)、排水管(VP管)が接続されます。洗面化粧台の排水管は偶数号室は洗面所奥の壁面から125cmの位置、奇数号室は同110cmの位置に床下から排水管が立ち上がり、その左右に給水管と給湯管が15cmほどの間隔で立ち上がっています。また、洗面化粧台の鏡を固定する壁面から排水管までの水平距離は約16cmで、接続部の高さは床上より約6cmとなっています。
新しい洗面化粧台の給水管、給湯管、排水管の位置と、既設の各配管の床からの立ち上がり位置は通常、ずれています。そこで洗面化粧台の底板に既存の配管にあわせて開口したり、台輪の高さの範囲で既存の配管の立ち上がり位置を調整することで新しい配管に接続できる場合もありますが、洗面化粧台に引出しがある場合など、これらの方法では調整できず、床下の配管から改修が必要となる場合があります。
【技術資料】の施工要領に準じて、更生したライニング鋼管の性能が保たれるように施工します。洗面化粧台付属の排水管でジャバラ管のものがあります。抜けやすく、耐久性や定期排水管清掃などでトラブルの原因となりやすいことから、排水リフォームキット(INAX)といった管材料を用いて配管することをお薦めします。
標準の洗面化粧台には照明とコンセントを組み込んだ化粧鏡が付属し、壁側に配線用のジャンクションボックス(洗面所奥の壁面から約115cmの距離で高さ173cmの位置)が設けられています。洗面化粧台を更新する場合の化粧鏡の選定においてジャンクションボックスが隠れるサイズであることを確認します。
|