修繕に関する細則

 

■ 「修繕に関する細則」制定の背景

 マンションの管理規約策定の指針となる「標準管理規約」が、1997年2月に改正され、「第17条(専有部分の修繕等)」が加わり、専有部分工事について申請・承諾制とすることが明記されました。そしてこれを受けて「リフォーム(模様替え)に関する規則」などで届出を義務付けるマンションが多くなっています。
 南流山弐番街では「コープ野村南流山弐番街使用規則」の第5条(組合の承諾事項)の(3)で「他の居住者に迷惑をおよぼすおそれのある営繕工事を行うとき」と記述されていますが、工事の内容など具体的な内容が定められていませんでした。そこで2000年の管理組合定期総会の第2号議案として「コープ野村南流山弐番街使用規則5条」を補足する「修繕にかかわる細則」が承認されました。

 

コープ野村南流山弐番街使用規則 修繕にかかわる細則

第1条(目的)

 当マンションは建物の構造体、設備関係を複数の居住者が共同に利用しています。このため、ある住居専有部分の改修・改造が適切に行われない場合、近隣の居住者への騒音増大や排水にかかわるトラブル発生などにつながり、住環境を悪化させます。そこでこのような専有部分の不適切な改修・改造を防止し、各住居の住環境の維持・向上を目的に、コープ野村南流山弐番街使用規則の第5条で定められた事項をうけて本細則で修繕に対する内容の範囲、手続き等を定めます。なお、本細則はこれから居住しようとする人も含め、「区分所有者=居住者」の場合を前提に記載します。

第2条(改修・改造の分類と届け出)

 改修・改造を次の4つに分類し、管理組合への届け出及び承諾の手続きを定めます。

(1) 第3条に示す居住者自らが行う専有部分の軽微な改修・改造で、管理組合への届け出の不要なもの
(2) 第4条に示す管理組合へ報告をいただきたいもの
(3) 第5条に示す改修で管理組合への事前の届け出が必要なもの
(4) 第6条に示す共用部並びに他の居住者に影響を及ぼす改修・改造で管理組合からの承諾の必要なもの

第3条(届け出の不要な軽微な改修)

 居住者が自ら行う専有部分の構造・材料の変更を伴わない下記例の軽微な改修・改造で、騒音の発生がなく、近隣居住者に対する住環境の影響がなく、そして共用部分の構造物(電気・給排水設備含む)に影響ないものは管理組合への届け出は必要ありません。

(1) 塗装部の塗替え
(2) 壁などのクロス張替え
(3) 各所の化粧シート貼り
(4) 玄関の合成樹脂タイル仕上げの上に同種のタイルを張り重ねるもの(撤去を伴なうものは第6条による)
(5) キッチン、洗面所のクッションフロア仕上げの上にクッションフロアを張り重ねるもの(撤去を伴なうものは第6条による)
(6) 住居内の間仕切り壁(軽量鉄鋼、石膏ボード貼り)に額吊下げ用の金具や棚を取り付けること。

第4条(改修の報告をしていただくもの)

 居住者は、下記について事前あるいは事後に理事長へ報告書(添付様式1)を提出いただくものとします。

(1) 給湯暖房熱源機器(TES)の更新、TESの暖房ユニットの増設・更新
(2) 浴室、洗面所、キッチン、洗濯機用の水栓の交換、トイレの便座を洗浄式に交換
(3) エアコンの新設及び取り替え工事
(4) 玄関扉施錠金物取替え工事(外観が変化しないことを条件とする)

第5条(届け出の必要な改修)

 居住者は下記に示す専有部分の構造・材料の変更を伴わず、かつ、共用部分のコンクリート構造物に影響を与えない工事は、理事長へ届け出書(添付様式2)を着手より1週間以上前に提出することとします。なお、本条(1)、(2)の場合、第10条により、近隣居住者への連絡を行うものとします。

(1) 第3条の(1)〜(5)に示す改修を工事業者が行う場合
(2) 居室やクローゼットの扉交換に伴ない扉枠や軽鉄下地にドリルで穴あけするもの
(3) 電気容量の変更工事(最大50Aまで)
(4) 電気配線の変更を伴う工事
(5) 電話配線工事(モジュラージャックの増設に伴う配線など)
(6) テレビ配線工事(端子変更を含む。テレビ配線は縦系統の居室の受信に影響するため、内容により変更をお願いする場合があります。)

第6条(承諾が必要な改修)

 下記の工事(近隣居住者の住環境・共用部分のコンクリート構造物への影響が懸念されるもの、給排水配管の変更を伴う工事)を行おうとするものは設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書(添付様式3)を原則として工事着手の1ヶ月以上前に理事長へ提出することとします。管理組合は届け出より原則として2週間以内にその工事の承諾の可否、あるいは承諾の条件となる是正すべき内容について連絡するものとします。承諾を受けたものは第10条により近隣住民に説明を行った上で工事に着手するものとします。
なお、これらの工事に関する技術上の基準は別に定めるものとします。

(1) 床仕上げの改修工事(第3条(4)、(5)に該当するものを除く)
(2) 間仕切り壁や天井の構造の変更あるいは、新設・撤去を伴う工事(ユニットバスの交換も該当)
(3) 共用部のコンクリートにアンカーを打つ工事(額吊り下げ用アンカーを含む)
(4) ユニットバスの交換、洗面所の洗面台の交換、便所の便器の交換及び洗濯機の排水パンの交換など居室内の配管の変更を伴うもの
(5) キッチンの交換(キッチンに接続されるガス管、給水管、給湯管、排水管の改変を含む)
(6) 工事に伴って騒音・振動・塵埃・悪臭を発生し、近隣住民に不快感を与える工事
(7) その他、共用部分の建物、設備に直接接触、または接着して行われる工事

第7条(認められない改修、設備など)

 共用部分のコンクリート構造物、給排水設備、電気設備(TV設備、電話設備含)に多大な影響を及ぼす改修、近隣居住者の住環境に著しく影響を与える改修、防災上、危険と考えられる改修は禁止します。

第8条(承諾の手続き)

 第4条の報告書、第5条の届出書、第6条の申請書はコープ野村南流山弐番街管理人室で受付けます。
理事長は第6条の申請について専門家(保全専門委員会あるいは外部機関)に検討を依頼します。委託を受けた専門家は申請の内容を分析して「承諾可能な内容」、「申請の内容に問題があるが委員会の是正内容が受け入れられれば承諾可能な内容」、そして「承諾不可能な内容」に区別し、その結果を理事会に報告します。これを得て理事会は、承諾、条件付きの承諾、不承諾(理由を付記)の決議を行い、申請者に通知します。

第9条(立ち入りについて)

 管理規約第20条および第24条の専有部分、専用使用部分の立ち入りに関わる内容を受けて、組合管理部分の管理を行うものは、本条の施行に必要な最少限の範囲内において修繕個所に立ち入り調査を行うことを、区分所有者、あるいは工事の主体者に請求することができるものとします。

第10条(近隣居住者への連絡)

 第5条(1)により届け出を行った居住者あるいはその代理人はその期間を工事着手前に隣接住居(階段室を同じく利用する同一階、直上階、直下階の住居及び、階段室を同じにしないコンクリート壁を隔てて接する住居)に連絡するものとします。第5条(2)については、離れた住居へも騒音が伝わるため、掲示等の方法により、事前に該当する棟の居住者に騒音の発生を連絡するものとします。
 第6条により承諾の必要なものは、工事等着手1週間前までに、その工事内容を隣接住居(直上階、直下階、東隣、西隣、東隣直上階、西隣直上階、東隣直下階、西隣直下階の各住居)に連絡した上、工事に着手しなければなりません。なお、コンクリートに振動を伝える工事(第6条(2)、(3)、(6))にあっては、掲示等の方法により、事前に該当する棟の居住者に騒音の発生を連絡するものとします。

第11条(賠償の責任)

 管理規約第25条により、故意または過失(申請して承諾されたが、そこに記載されていない建物・設備に影響ある工事を実施、あるいは、承諾された工事内容と異なる内容(近隣居住者の住環境に影響を及ぼす品質の低下を伴うもの)により、共用部分の構造物、配管等に損傷、改変及び他住居に損害を与える改修)を行ったその工事の主体者は、現状回復及び損害賠償の責を負うものとします。また、第9条の立ち入り調査を拒否し、その結果生じた損害についても賠償しなければなりません。

第12条(義務と疑義)

 居住者はその自らが住む専有部分を改修するにあたって、近隣の住環境に配慮し、それらが現在の状態を維持、あるいは向上するように専有部分の改修の内容、材料選定することに努めなければなりません。
 本細則に定めのない事項に対して改修工事を行おうとするものは、事前に管理組合に問い合わせを行うものとします。

 

・ 申請書類(同意書など含む)  (137kB)

 

 

【解説】

1. 「専有部分」と「共用部分」(コープ野村南流山弐番街管理規約第5条2項)

(1) 天井、壁および床部分については、主要構造部である天井・梁・柱・壁・床の躯体部分を共用部分とし、それらの上塗り部分および当該部分から内側の部分を専有部分とする。
(2) 玄関扉については、共用部分とする。但し、施錠、玄関扉内側塗装部分は専有部分とする。
(3) 配線、配管、ダクト、パイプシャフト等については、当該住居部分の専用に供する部分を専有部分とする。
(4) 外気に面する窓枠、窓ガラスは専有部分に含まない。

2. 修繕に関する規約等

 「コープ野村南流山弐番街使用規則」の第1条(専有部分および専用使用部分の使用)で、修繕(リフォーム)関連として居住者の遵守すべき事項として、下記の事項が定められています。

(1) 建物の躯体に影響をおよぼすような改修工事などを行ってはならない。
(2) 専用使用部分、外壁、玄関扉、窓等の外観を変更してはならない。
(3) 他の居住者に影響をおよぼすおそれのある電気・ガス・給排水・通信、その他の諸設備、器具などを新設・増設・変更してはならない。

 また、同規則第5条(組合の承諾事項)で、修繕(リフォーム)に関する下記の事項について、事前に組合に届け出て、その承諾を得なければならないと定めています。

(1) 電気・ガス・給排水設備の新設・増設・変更。
(2) 他の居住者に迷惑をおよぼすおそれのある営繕工事をおこなうとき。
(3) 大型金庫等の重量物を搬入および据付けるとき。

3. 改修に対する技術指針について

 現在、「改修の技術指針」を策定中でこれがまとまるまでは、個々の申請の都度、内容の検討をさせていただくものとしますが、基本的な考え方を次に示します。

(1) 図面提出について

 改修工事は既存部分との調整が必要なことから新築工事より、技術的に難しいものがあります。
例えば浴室のリフォームなど、排水管は正規の水勾配がとれるか、詰りやすくはないか、耐熱性のある材料を使っているかなど、図面上で事前にチェックができることから、技術力の高い業者であれば必ず作成するものです。
 また、TVアンテナの配線はその下の階へ接続されていることから、TV端子のついた間仕切り壁を移設する計画の場合、下階の配線が考慮されているかなど、チェックの必要があります。
 このような観点から図面の提出をお願いするものとします。

(2) 共用部への影響、防火上のチェックなど

 図面により、共用部の設備などへの影響、あるいは防火区画などへの影響などをチェックします。

(3) 床仕上げについて

 床仕上げは既存の床仕上げの騒音・振動防止能力と同等かそれ以上の性能を有しているものとします。
フローリングフロアの防音性能は1階居住者を除いてLL-40以上の性能を有するものとします。(LL-45規格のフローリングの場合、子供さんのいるリフォームされた住居の下階に居住される方が生活音に悩まされている事例が多くあります。)

4. 承諾の必要な工事の手順

 図1に承諾の手順を示します。Fの近隣への説明完了の報告により、工事に着手できるものとします。

図1 リフォームの内容検討のステップ

5. 工事業者選定について

 リフォームを投げ込みのチラシから見付けた工事業者に依頼し、トラブルを起こしている事例が多く聞かれます。チラシに記載された工事金額から業者を選定するのではなく、信用のある工事業者を選定することをお勧めします。