キッチン

 

 キッチンのリフォームとして (1) 既存の使い勝手を改善することと、そして(2) 新たなシステムキッチンに入れ替えが考えられます。 いずれもキッチンの安全性を念頭に置く必要があります。
 次に両者について解説します。

 

1. 既存設備の使い勝手の改善

 2008年の給排水設備改修工事で専有部分となるキッチン系統の排水枝管が更新され、標準のキッチンも排水管からの漏水の心配なく、使い続けられるようになりました。
 キッチン系統キッチン部分とLD部分が壁で仕切られていて良いと感じるのは、冷蔵庫が動作した時の運転音が抑えられることです。近年の冷蔵庫はインバータ方式などを採り入れることで冷蔵庫から発生する騒音は低減されていますが、夜、静かな時はやはり気になるものです。壁によって直達音が聞こえるのが防げます。

● 流し台等の表面仕上のリフォーム

 キッチンの雰囲気を費用をかけないで変えるには、流し台の扉部分に化粧シートを貼る方法があります。
 左の写真は45cm幅×2m(参考価格780円)の木目調シート4本を使い、実費約3,300円でで リフォームしたものです。以前のベージュ色の単色から、落ち着いた感じにイメージチェンジできました。

【DIYの作業手順】

  1. ドライバで各扉を外します。
  2. 扉の取手を外して扉表面の汚れを落とします。取手は別に金属磨きなどで洗浄します。
  3. シートを貼る面より少し大きく切って、端の接着面の養生シートを少し剥がして、扉の接着面につけます。そしてシートを片側からタオルで円を書くように押さえ、養生シートを少しずつ剥がしながら、全面を接着していきます。気泡が入ったらあわてず、針でその部分に孔を空け、タオルで再度押さえて、空気を抜きます。
  4. 余分なシート部をカッターなどで断ちます。
  5. 外した取っ手を扉に取り付け、扉をもとの場所に取り付けます。

注: 必要寸法は必ず実測してください。

● 混合栓

 既存の混合栓はツーバルブですが、これをシングルレバーに交換すると、水量、温度調整が簡単にできます。また、加齢に伴う握力低下でバルブの開閉が思うようにならなく場合にもシングルレバーは有効です。

● 目地の汚れ隠し

 水栓奥のタイルとステンレスの継ぎ目のシリコーン系充填材で防水処置がされている部分は汚れが溜まり易い部分です。そしてカビによる黒ずみが発生すると除去できません。この場合、目地部分を乾燥させて目地の上下をマスキングテープで保護し、シリコーン系充填材(例:『シリコーン系充てん材 バスボンド 白色(コニシ(株))』(100g、参考価格980円)を既存の目地の部分の充填材の上に上塗りすることで汚れが目立たなくすることができます。

● 棚板の取り替え

 標準の流し台上部の棚は 合板で薄く(→ 記憶ですが、下駄箱の棚板と同じ厚さの9mm)、食器を置くとたわむことから不安に感じました。そこで幅30cm、厚さ17mm(公称18mm)の市販の 棚板をカットしたものに交換しました。この交換で食器を載せても棚板がたわむことがなくなり、安心できるようになりました。
 棚板として合板を用いるならば最低12mmは必要と思います。

■ 換気扇フード下に鍋、フライパン掛け

 キッチンの排気フードの下に、吊り下げ用フックを取り付けたステンレスパイプを渡して、鍋・フライパンを掛けられるようにしたものです。油ものを調理するときは汚れないように外す必要がありますが、他の料理では直ぐ調理器具に手が届くことから便利です。

● 流し台背面に作業スペースに

流し台背面の凹部の横幅に合わせて幅45cm、厚さ3cmの集成材を181.5cmの長さにカット (重さ約15kg)し、床面から壁面に添わせて立てた支持脚の上に置いて作業テーブルとしたもの。(高さは流し台と同じ)

 キッチンの改修を考える一因として現在のI型の流し台だけでは材料の置き場所、作業場所が少ないことがあります。 上の事例はキッチンとダイニングを仕切る壁の部分に作業テーブルを設け、U型のキッチンとしたものです。また、写真のように壁面に棚と電子レンジ用のキャスター付の置き台を設備し ています。冷蔵庫に入った食品を解凍したり、加熱するに便利な位置です。
 お子さんのいる家庭では作業テーブルの前の壁(石膏ボード)にダイニング側を見る小窓をつくると料理をしつつ、子供たちとコミュニケーションをとりやすくなります。

● キッチンの壁に窓新設

 窓の新設の造作の方法は 

 

● キッチン床仕上のリフォーム

[既存仕上げ] [貼り重ね後]
 キッチンの床はコルクタイル調のクッションフロア仕上げとなっています(写真上左)。流し台はガス栓、排水管に接続されていることから、専門家でないと移動できません。そこでDIYでできる床のリフォームは流し台部分をそのままに、見えている部分のクッションフロア上に新しい床材料を張り重ねることです。両面テープで固定してカーペットタイルを置き敷きすることもひとつの方法です。上記の例ではクッションフロアに張り重ねる方法がとられています。なお、不適切な床のリフォームは下階への騒音増大の原因となりますので、キッチンのリフォームでクッションフロアの張り重ねやカーペットタイルの置き敷き以外の方法をご検討の場合、管理組合にご相談ください。

 クッションフロアは様々なデザインのものが販売されていますが、床にこぼれた水で滑らないように滑止めとなる凹凸のあるものからお選びください。必要な寸法は各住居で実測の必要がありますが、上記の例では180cm幅×3mを使用しています(衝撃音の低減の効果の高い2.5mm厚で3000円/m(ジョイフル本田調べ))。これに床用の接着材(ゴム系ラテックス形接着剤CL-7N、セメダイン(株)、580円)1kg入りと接着剤を均等に塗るための櫛目のついた金コテ(30円)、スティール定規、カッター、はさみ、両面接着テープ(ビニル幅木接着用)を用意して作業を行います。

● 照明

 キッチンの照明器具をそれまでの直管の蛍光灯20Wx3本を並べたものから、スポットライトに変更してみました。TOSHIBAの器具で,ランプはスポットランプから省エネのためにネオボールZ(22W、昼光色)に交換しています。スポットランプの時は電球色が強く、白味を強くしたかったのですが、ネオボールへの交換でほぼ、満足できる色味がだせました。この交換は天井からリビング側に漏れる光を少なくしようと考えてのものですが、ほぼねらいの結果が得られました。また、壁面の棚の中が見にくいということもありません。

 

2. キッチンユニットの入れ替え

 『リフォーム・マニュアル』 でキッチンのリフォームについて詳しく解説しています。これを参考としてください。 なお、同マニュアルでも記載していますが、システムキッチンにリフォームする場合、デザインに目が行きがちですが、使い勝手からの選定が、まず、必要となります。
 当マンションのキッチン流し台の裏側の配管は下の写真のように配置されています。システムキッチンに入れ替える場合、従来のものはこの配管に配慮されていないため、システムキッチンの裏側に配管となるように配置しなければなりません。そしてこれによって通路部が狭くなってしまうのです。
 このようなマンションの配管に対応する「マンションリフォーム用システムキッチン」(タカラスタンダード)があります。このキッチンを更新に用いれば重要なキッチン周りの移動スペースを狭くしません。2008年の調査ではタカラスタンダード社のみがこのような構造の製品列を用意しているのみです。キッチンの選定の参考としてください。
 なお、キッチンをシステムキッチンに入れ替える場合、流山市の下水道管はディスポーザに対応していないことから絶対にディスポーザを導入しないでください。(参考公共下水道の使用上の約束

キッチンのシンク裏の配管(「給排水設備改修工事(2008年)で撮影)


シンク下(奥の凸部内が配管スペース)

マンション・リフォーム用システムキッチン(タカラスタンダード)

 

参考:冷蔵庫について

 キッチンユニットを入れ替える場合、冷蔵庫を始めとしてキッチンに置く機器のことも考えねばなりません。最近の冷蔵庫の主流はマンションサイズと称して幅60cm奥行き60〜70cm(設置空間を含めて)の400リットル前後のクラスで、省エネルギー化も図られています。当マンションのキッチンの冷蔵庫を置くスペースはそれ以前の250リットルクラス(55cm幅)対応で57cm幅です。このクラスはしばらく前まで各社とも技術開発の努力がなされてこず、買い替えをどうしようかと、思案させられま す。
 日立製作所で幅55cm前後の冷蔵庫の設置スペースにそのまま置ける、省エネルギー型の冷蔵庫 を販売しています。SLIMという愛称で2009年3月現在、R-S30YMVが新製品となっています。20年前 の250Lのサイズで300Lの容量になり、現在の冷蔵庫のように上段が冷蔵庫、真中が野菜室、そして下段がフリーザーの構成となっています。また、消費電力量は350Lクラスと同程度 となります。